[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
えー、題名だけだと重そうだと思われそうですが、今日のは軽いです。
ってか、コメディタッチなんで気軽に読んでください。
そしてコメントください。
ヒトは生まれてくるとき肩に死神を乗せて生まれてくる、という話をどっかで聞いた。だから、「いらっしゃいませ」と死を受け容れるべきなのである、と。
ところで何故、俺がわざわざ死神なんかの話をしたのか。理由は簡単、今その死神とやらと対面しているからだ。
「平成十七年十二月十四日午前十一時ジャスト、御幸通りで左折車の不注意により死亡。これに間違いないわね?」
「ハァ?」
淡々と説明をしていた彼女は、今度はそのさっきまで読みあげていた〝死亡予定書〟なるものを俺に差し出して言った。
「では、ここの〝私はこの死亡理由で間違いありません〟ってところに捺印してくれる?」
何なんだよ。
何者なんだ、アンタは。
そもそも、何でこんな事になったんだ?
* * *
つい数時間前まで記憶をたどってみる。そういえば俺は靴を買いに来たんだ。ついでにレンタルビデオ店にも寄ったっけ。
ビデオを返した帰り。青信号で渡ろうとしたときだ。突然車が進入してきて……あぁ、ココからはなんだか記憶があやふやだ。車にぶつかった気がするんだけど……。ともかく気がついたときには、目の前に黒ずくめで、大鎌を背負った女がいた。
* * *
「さぁ、早く捺印を」
「コラ! ヤミ金業者みたいな事言ってんじゃねぇよ。てかあんた何様のつもりなんだよ」
すると、目の前の女は名刺を差し出してこう言った。
「登録死神番号4039番。カオルよ」
スイマセン。
誰かコイツを黄色い病院に搬送してやって下さい。
周りの人も哀れみの目でこっちを見ている。
『かわいそうに。事故で頭がおかしくなっちゃったんだわ』って……
おい! 俺もコイツと同類か?
そうか、確かに周りの人の肩の辺りに死神が見える。
俺はマジで死んだか。
……
……?
何で周りの人に俺が見えるの?
カオルとか言う死神は、俺のことはお構いなしに「先に、死の授業を始めましょう」とか言って勝手にしゃべり始めた。
* * *
まず、そもそも死神とは?
たいていの人は死神と聞くと、がい骨が黒ずきんをかぶって、大鎌をかかげている姿を思い浮かべる。
彼女によるとそれは近からずして遠からずだそうだ。そもそも人間とは違う次元の存在なので、人間の認識次第で骸骨ではなくて人間のような肌を持つ事もあるし、想像通りの死神が現れることもあるのだそうだ。
また、死ぬ前に現れる不吉な存在のように思われているが、あくまでも死神は神であるし、死後に現れるように決まっているという。
死神の服装について忘れていた事があった。
まず、大鎌は実用的でないといわれているが、彼女の言うには死を素直に受け容れず、現世に幽霊として居残ろうとする人が多かったので大鎌で脅していたという。あと、死神のあの黒ずくめの格好は喪服だそうだ。
* * *
「……というわけで、私がこんな格好をしているのはあなたの所為、というのは理解できたかしら?」
カチーンとは来たが、あえてその怒りを抑えて、疑問をぶつけてみた。
「は~い、せんせー。しつもんがありま~す」
抑揚はつけない。
「ハイ、キミ」
「あっ、すいません。俺には、〝小田耕一郎〟つー立派な名前があるんで名前で呼んでくれませんかね?」
マジでこの女ひどいやつだよなぁ。ってかアンタ今思ったけど、〝死亡予定書〟ってのがあんじゃないのかよ。
「〝小さな田を耕す〟、ねぇ。いい名前じゃない」
人馬鹿にしてんのか? コイツ。
「んなこたぁどーでもいいんだよ。そうじゃなくて、俺の姿が何で周りの人に見えてんだって話なんだよ、よーするに」
「そんなことありえないわ。だって死んでるはずでしょ? ねぇ、小田君」
「たぶん。……って、俺にきくなよ! んなこたぁ、お前がわかってるんじゃねぇのかよ!」
「全然」
即答。
ダメじゃん!
ちなみに、全然と言う語の後ろには否定文が続く。
なんつって。
「あんた死神じゃねぇのかよ!」
「えぇ、もちろん死神よ」
「んじゃ、何で俺が死んだかどうかはっきり言えねぇんだよっ!」
「あなたが心の声で、『あぁ、俺はダメだ! 死んじまっただーっ!』って叫んでたから。だから救いに来たの。こっちで暴れられても困るし」
死んじまっただー、っていつぞやの歌の歌詞みたいじゃん。
ってか、心の声って?
……。
新興宗教?
最高ですか~? 最高で~す……みたいな?
「あっ、俺そういう神とか、心の声とか信じないタチだし、ワリーけど、別の人当たってくんねぇ?」
「あー、今私のこと聖○中央教会からの差し向けかなんかだとおもったでしょ? やーねぇ。人に限らず、神様を疑う人は何者にも見向きされなくなるのよ?」
余計疑わしいだろうがっ! ってか、た○っつあん関連は禁句だろ、さすがに。
じゃなくて。
「ひとまず俺はどうすりゃいい?」
「さぁ。自分で考えて」
非道っ! てか冷たいヤツだなコイツ。
「このままこの場から去るわけにもいかねぇだろうさ」
「いいじゃん。別に」
テキトウなヤツだな、マジで。
「あ、そうそう」
「なんだよ」
「一度こっちに呼ばれたら魂持ってこなきゃ戻れないし、死んでないんだったら居候させてね。あと、人間のお金なんて持ってないからね」
ん? 要は生活費オレ負担で生活させろっつーことか?
「虫のいいことばっか言ってんじゃねーよ! 何とかしてバイトしろ。働かざるもの食うべからずだ」
「むー、耕ちゃんのイジワル~。あたし、なんだかんだ言って神だよ? し・に・が・みっ!」
耕ちゃん呼ばわりすなっ! てかここに来てブリッ娘すんな!
☆
……とまぁ、こんなくだらない言い合いの末、結局オレと死神カオルとの同居は始まった。
え? 事故はどうなったのかって?
んー、すぐそっから逃げてきたし、(ってかよく逃げて来れたな……)飛ばされた割にはたいした怪我もしなかったし、まあ、全てこの死神カオルのおかげなのかもしれない。
それにしても、だ。
ただでさえ自分の日々の生活に苦しんでたのに、コイツのせいで余計苦しい生活をする羽目になってしまった。
謎だ、と言ったところでカオルが聞くわけでなし、状況が変わるでもなし、ただただ涙を飲んで耐え忍ぶばかりのこのオレだった。
06 | 2025/07 | 08 |
S | M | T | W | T | F | S |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | ||
6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 |
13 | 14 | 15 | 16 | 17 | 18 | 19 |
20 | 21 | 22 | 23 | 24 | 25 | 26 |
27 | 28 | 29 | 30 | 31 |
最近は、もはやマンガ読みな人になって、小説やら新書やらが読めてない。ぐわー。だから、このブログが消される危機に曝されたり結構愉快なことになってた今日この頃。もうちっと、ここで頑張らせていただきたかったり、いなかったり。(え