当館では無断複写はお断りします。でもコメントはください。コメントが無いと寂しいんで。
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なんか、前と同じ感じになりそうです。お久しぶりです、館長です。
雰囲気からオチのつけ方から前とたいして変わってないです。スイマセン。
ひとまず、部の冊子に載せようと思ってます。
コメントお願いします。
薄暗い病室。
ベッドから見える灰色の空。
雨音が、音楽になる。
その音に、傘を開く音が混ざる。
おもむろに起き上がり窓に近づいてみる。
窓の外にはシンデレラ城。
白黒写真の中に、色とりどりの傘が咲く。
ゆらゆらと動いている。
呼んでいる。
おいしそうに呼んでいる。
赤い花、黄色い花、青、ピンク、紫……
みんなが呼んでる。
病院の玄関から、紺色の花が一輪また咲いた。
行かなきゃ。
今が一番蜜のおいしい季節。
枯れるにはまだ早い。
「ちょっと待って!」
あの花が一番おいしそう。
私の大好物の色。
退院したら使おう、と思って買った紺色の傘。
(行かないで……)
私を置いて行かないで。雨の季節は始まったばかり。楽しみにしていた瞬間を奪わないで。
蝶になろう。遥か遠くまで広がる花畑で、いろんな味の蜜を吸いまわる。今花は咲き誇り、私を待っている。
窓を開ける。
ムッとした空気が触れる。
窓はそんなに高くない。
枠につかまって立ってみる。
さっきより眺めがいい。
ちょっと体が軽くなった気がした。
行ける。
青いパジャマの背中には、透き通るような真っ白な羽。
目指す花はちょうど目の前。
舞い降りる。
風がふわりと私の体を押し上げる。
羽をはばたかせる。
でも、雨で体が重くなる。
羽が思うように動かない。
どんどん花から離れていく。
(行っちゃう……)
私のお気に入りの紺の花。いつか必ず使おうと、思って買った紺の傘。
同じ物が今、目の前で離れてく。
「裏切られた――」
私は忘れない。
たとえ、また花が咲き、蝶が舞おうとも……
●
雨が降りしきる正午頃。病院の玄関で男性の傘が風にあおられ飛ばされた。
その男性の紺色の傘は、風に吹かれ、同時刻に飛び降りた女性のそばに転がっていったと言う。
《了》
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プロフィール
HN:
徒然なる館長
年齢:
39
性別:
男性
誕生日:
1986/05/09
職業:
大喜利見習い
趣味:
たましい大放出をやめないこと
自己紹介:
京都府民。よく「京都人」と言われるが、あれは「京都市(の一定区域内)に何世代も住んでいる京都市民」という意味であって、私がどこに住んでいようが「京都人」と呼ばれる日は無い。残念。
最近は、もはやマンガ読みな人になって、小説やら新書やらが読めてない。ぐわー。だから、このブログが消される危機に曝されたり結構愉快なことになってた今日この頃。もうちっと、ここで頑張らせていただきたかったり、いなかったり。(え
最近は、もはやマンガ読みな人になって、小説やら新書やらが読めてない。ぐわー。だから、このブログが消される危機に曝されたり結構愉快なことになってた今日この頃。もうちっと、ここで頑張らせていただきたかったり、いなかったり。(え
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